ニセモノ天国で地獄を見た日●2000西安
 


中国といえばニセモノが多い事はみなさんご存じの通りです。上海の襄陽公園の向かいにある市場に行くと有名ブランドのバッグとか時計とかが沢山ありますが、私は興味ないのでよくわかりません。私が好きなのは、ニセモノというには本物に対して申し訳ないと思うほどへなちょこでちんちくりんな物です。


例えばこんなのです。 腕時計です。バンドは某サ○リオのネコのキャラクターですが、文字盤を見るとドラがいます。隣にはネコがいます。見にくいのですが、秒針には某ディ○ニーのミニーちゃんがいたりします。

-----某時計会社の企画会議-----
「課長!スゴイ時計を考えました。我が国で知らない人のいないほど有名な2匹のネコをデザインしてみました。子供達に人気は間違いナシです、すごいでしょう。」
「素晴らしい!でも何か一つ足りないような気がする…」
「わかりました課長、ネコといえばネズミです。世界一有名な女ネズミも配置してみましょう。」
「ウム、完璧だ。これはバカ売れ間違いなしだ!」

売れるためならえげつないことも平気でやるのはどこの国でも同じですが、中国ではちょっと方向性がずれているんじゃないかと首をかしげることは多いです。

-----某ビデオ会社の企画会議-----
「今度当社から発売する映画は全然面白くないぞ。どうしよう。」
「課長!いい考えがあります。絶対売れること間違いナシの素晴らしいタイトルを付けましょう。」
「絶対売れるタイトルって、そんなの存在するのか?」
「課長!存在しました。これです!」

「ウム、完璧だ。大ヒット間違いなしだ!…本物のパート2が出るまでに売りまくるんだ!」

ま、こんなのにだまされてしまう人はあまりいないと思うのでまあいいのですが、似たようなケースでだまされてしまった人もいますので彼の話をご紹介しましょう。



彼の名を仮にH君としましょう。Hくんは西安の街を観光していました。西安といえば有名な観光地に兵馬俑という所があります。2000年以上昔に秦の始皇帝の墓に副葬品として埋められた兵士の人形が沢山ある所です。この兵馬俑に行こうと思ってHくんはバスに乗りました。兵馬俑は西安から1時間ほど離れた郊外にあります。バスが出発して1時間後、バスの車掌さんがH君に言いました。
「兵馬俑についたぞ、目の前のあれがそうだ、そこで切符を買え。」
Hくんは入り口で20元の入場券を買ってその中に入って行きました。中は人が全然いませんでした。いくつか兵士の人形があったりしますが、全然古くないです。奥の方にずんずん歩いて行くと土産物屋があって客引きがいるだけでした。おかしいなあと思いながら表に出て入り口の看板を見るとそこには「秦始皇園」と書いてありました。

-----某観光開発会社の企画会議-----
「我が社でも今度リゾート開発をする事になった。そこで客がウヨウヨ来るようなアトラクションを考えてくれ」
「課長!考えつきました。西安といえば兵馬俑です。しかし、兵馬俑は幹線道路から1kmほど奥まった所にあって道に迷う人がいます。そこで、迷った人のためにレストランを作りましょう。」
「キミはそんなことだからいつまでも出世できないのだよ。レストランじゃ儲からんでしょう。」
「わかりました、では迷わないように、もっとわかりやすい所に兵馬俑をつくっちゃいましょう。みんなそっちに入って来てくれます。」
「素晴らしい!キミは今日から係長だ。」

そんなアホみたいなニセ兵馬俑に、私みたいに間違えて入らないようにみなさん十分気をつけてください。

 


ニセモノ(人が少ない)

ホンモノ(人が多い)